【R6年度岩手県社会】岩手県公立高校入試レビュー:社会編
- OWNSTUDY 個別指導
- 2024年3月15日
- 読了時間: 6分
こんにちは。個別指導OWNSTUDYの佐々木です。
2024年3月7日(木)に行われました岩手県公立高校入試の問題レビューを個別指導塾の塾長兼講師の視点から見ていきます。
第3回目は社会です。残り科目は次第順次更新していきます。
◆難易度
わたしが感じた難易度は、【例年並み】です。
例年通り、大問が1〜8まであり、話題が細かく切り替わるような出題形式でした。
全体として、80点以上を取ることは難しくないが、2問程度難問が見受けられ、90点以上取るのは厳しかったのではないかという問題に感じました。
地理・歴史・公民ともに、正しい方向性で練習できていれば、十分に高得点が狙えたのではないでしょうか。
では、以下大問別に見ていきます。
◆大問1 世界地理
正距方位図法と気候帯を組み合わせた問題。
比較的易しめでした。
◆大問2 歴史 古代〜近世
飛鳥時代から江戸時代中期まで、基本事項を幅広く問われました。
今回の歴史(古代〜近世)の記号問題は、北条時宗と同じ時代の文化のようすとして適当なものを選ぶ問題でした。
歴史(古代〜近世)の記号問題を解くコツは、人物や出来事などのワードから、しっかり時代を特定することです。
ふだんから、このことを意識して問題を解けているかどうかがこの手の問題のポイントです。
ちなみに、北条時宗は鎌倉時代。
選択肢はそれぞれ
ア. 栄西・道元→鎌倉時代 (これが正答)
イ. 渡来人→古墳時代
ウ.最澄・空海→平安時代初期
エ.国分寺→奈良時代 でした。
なお、記述問題も並べ替え問題も、かなり解きやすい問題だったと思います。
◆大問3 日本地理
2020年度入試ぶりに、地形図問題が出題されました。
(1)では発電所・変電所の地図記号の読み取りが求められました。
受験勉強で一度でも地形図を勉強できていた人は、難なく正解できるほどの難易度だったと感じました。
(2)は、扇状地の果樹園利用の問題でした。
受験勉強をはじめた時期が遅かった人は、もしかしたらここまで網羅できなかったかもしれませんが、かなり基礎的な問題だったと思います。
(3)は、今回の社会でわたしが難問だと感じた問題のうちの1つである、福島県の2地点の月別平均気温と平均降雪日の組み合わせを選ぶ問題でした。
この問題は、月別平均気温を当てるのが非常に難しく、臨海部と内陸部の年較差の知識が必要な問題でした。
わたしが社会の授業をするときは必ず話しますが、独学で社会を勉強していた人は、おそらくこの知識に出会えなかった人が多かったのではないでしょうか。
この問題は難問だったと思います。
◆大問4 公民 政治
(1)〜(3)は基本問題でした。
(4)は、やや難問だったと思います。
資料Ⅰだけ見れば比較的わかりやすいですが、逆に資料Ⅱを見るとよくわからなくなってくると思います。
資料Ⅰの1票の格差の問題を見れば、平等権の話だとすぐにわかりますが、資料Ⅱの国籍うんぬん、国際法うんぬんの話はわかりにくく、判断がつきにくかったのかなと思います。
◆大問5 世界地理 南アメリカ
大問5は、(1)〜(3)までやや難の問題が続きました。
(1)の雨温図問題、気温を軸に判断すると正解できそうな問題ですが、降水量を見て判断するとミスしてしまう可能性が大の問題でした。
選択肢に1つだけ、めちゃくちゃ難易度の高い都市である、チリのリマが入っていることがやや難の原因です。
チリのリマは、さまざまな要因が絡み合って、1年で降水量がほぼ0という超特殊地域です。
これは、中学地理ではあまり触れませんし、どちらかと言えば、高校地理で触れたいようなところなので、初めて見たという人も多かったのではないでしょうか。
とはいえ、一度入試で出てしまったので、わたしも今後は授業の際には生徒にさらっと教えようと思います。
(2)は、インカ帝国を答える問題。
知識の隙間をついてきたなという印象でした。
網羅的に勉強して、一度でも見たことがあったかどうかがポイントだったと思います。
ちなみに、手元の受験用テキストでは、インカ帝国は発見できましたが、オスマン帝国は発見できませんでした。
(3)チリの輸出額問題。
チリ=銅、チリ=魚、というイメージがあったかどうかがポイントでした。
南アメリカは、世界地理の各論の中でも、かなり意識が逸れやすい単元であるようにかんじます。
その中で、南アメリカについても妥協せずにしっかり触れて勉強していた人が、この大問の10点分をつかみきれたのかなと思います。
◆大問6 歴史 近代〜現代
(1)と(2)は標準問題。
(3)は典型問題からは外れた、資料の読み取り問題。
(4)は時代特定の問題でした。
(3)は、資料の読み取り問題でした。日頃からこの手の問題から逃げずに、資料に触れながら書く練習をしていた人は、難なく解答できたと思います。
(4)は、少し難しいと感じた人も多いかもしれませんが、公害問題=1960年代、という意識があれば解けたと思います。
ちなみに、田中正造は、1890年頃から1900年頃にかけて活躍した人物です。
◆大問7 公民 経済
(1)と(2)は標準問題。
(3)は資料の読み取り問題でした。
(3)の資料の読み取り問題は、資料から読み取れる情報をそのまま書けば正答できる問題でしたので、日頃から記述問題を逃げずにトレーニングしていたかが大きなポイントとなりました。
◆大問8 融合問題
(1)と(2)は標準問題でしたが、解きにくいと感じた人もいるような、少しだけ難しい問題かなと思います。
(2)のウとエは、このあたりの勉強を疎かにしていた場合は、区別がつかなかったかもしれません。
(3)は、おなじみの考えて書く記述問題。
いつも通りに解答できていれば、しっかり点数は来たと思います。
◆総括
以上をまとめると、総合評価は【例年並み】です。
しかしながら、難しい問題も多く、90点以上を目標にしていた人にとっては、非常に歯がゆい点数に落ち着いてしまったのではないかと思います。
◆新中学3年生の指導について
基本事項はしっかり押さえつつも、入試で問われやすいような典型問題をしっかり網羅するように指導していくことがポイントだと思います。
知識と解答を1対1で結びつけるだけでなく、なぜそうなるのか、どうしてその答えが導き出せるのかまで突き詰めて考えられるようにアドバイスしていくことが重要だと改めて感じました。
また、勉強時間や対策期間が不足すると、網羅性に穴が生まれ、点数の安定性を大きく損いやすいのも社会の特徴です。
生徒1人ひとりに勉強時間をしっかり確保するように促していくことも継続していきます。
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それでは、社会レビューは以上です。ぜひご参考にしていただければと思います。
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